商店街通りを歩きながら、私は道ゆく人々の服装をながめている。唯どうしても目につくのは女性がスカートをはいた人が少ない。少ないというより一人も目に入ってこない。
 遠い日は、語らいながら時に笑顔をみせ、女性はスカートの下にほっそりとした足元をヒールがひきたてている。とても美しかった事が今でもまぶたを横ぎる。
 今日ながめる人々は、ズボンをすっきりとはき、男性と足並をそろえている。私はスカートの下からのぞく美しい足の女性の事を幾度となく思いえがいた。やはり、いつの時もにこやかに男性のそばに寄り添い、ほほ笑む女性の姿を、私は大切に心にあたためているのだと心静かに思いえがいた。そしてスカートの下からのぞくスッキリとした女性の足もとを事のほか、美しいと追わずにはいられない。
 女性は年月を過ごそうと、男性のそばでほほ笑む姿こそ、いつの時も尊く美しいものだと思う。今日の空はまだ暑さを残し、その中にしばらくお目にかかっていない人の顔を思いえがき、とてもお会いしたく思う。
 語らいながら目をさするくせのある方、笑顔のあと下を向かれる人、手をあげ一心に語られる方、そしてどこか、少女の面影を残した美しい女性。
 今日の空はさまざまな過ぎし日を連れて来てくれる。すてきな9月である――

(玲)