「わんわんパトロール隊・ハチの会」が活動開始
津市誠之地区・自主防犯ボランティア「ハチの会」
児童らの登下校を見守る
毎日の散歩で犯罪や事故の未然防止へ

 
 津市久居地域の誠之地区で令和5年11月、愛犬の散歩をしながら通学路を見守るボランティア団体「ハチの会」が発足。4月から、新学期を迎えた児童らの登下校を見守る活動を始めた。同様の活動が、全国に広がっており「犬の散歩を含め、街頭に多くの人がランダムに歩くことは、犯罪者への監視の目になり、大きな犯罪の抑止力になる」と新たな見守りスタイルが注目されている。

 同地域ではこれまで小学校の下校時に、東出自治会内の老人会「東風の会」見守り活動を行ってきたが、会員の高齢化に伴い、令和4年度で見守り活動を終了した。
 見守り活動の代替活動を模索していた所、「東風の会」を「ポチの会」と聞き違えたことがヒントになり、「わんわんパトロール」の結成に至った。
 同地域が、忠犬ハチ公として知られるハチの飼い主だった上野英三郎博士の出身地であることにちなみ「ハチの会」と命名。ハチ公が生誕100年を迎えた翌日、令和5年11月11日(ワンワンワンワンの日)に発足した。
 隊員資格は、①市町村に飼い犬登録をする人。②毎年、狂犬病と混合ワクチン予防注射を接種していること。③散歩時にふんを持ち帰るなどのマナーを守っている人…が対象。
 登録者の氏名や愛犬の名前、注射接種の有無やいつもの散歩コースなどを記入し申請。24日現在、登録隊員は23人。パトロール隊員犬は35匹。(令和5年度、同地区登録犬500頭)
 登録すると配布される「SEISI WANWAN PATROL」と書かれたトートバッグを持ちと缶バッジを装着して散歩をする。重視するのは継続性。時間や場所を決めて集まるのではなく、隊員の自宅近くで、隊員それぞれのペースで無理なく活動する。同会では「犬の散歩の時に少し防犯意識を持ってもらい、『ながら見守り』をしてもらいたい。何か特別なことをするわけではなくて、不審に思う何かがあれば警察に連絡してほしい」と話す。
◎津南署に活動開始を報告
 4月24日、ハチの会で代表を務める長谷川一正さん(76)ら団体関係者6人と隊長犬“ファンタ”と副隊長犬“ペプシ”が津市明神町の津南警察署を訪れ、活動の開始を報告した。
 長谷川一正会長は「児童の通学や住民の安全のために見守り活動を始めました。皆さんに親しまれる会にしていきたい」と挨拶した。
 津南警察署の堀井達也署長は「警察にとっても心強い活動です。何かあれば速やかに警察に通報してください」と話し、反射板などを贈呈した。
 報告会後、「わんわんパトロール隊」の出発式が予定されていたが、あいにくの雨の為中止になった。
 津南警察管内にある42の防犯ボランティア団体のうち、犬と一緒に活動する団体は初めて。堀井達也署長は「犯罪や事故の未然防止と万が一発生した時の早期の検挙に繋げていければと考えています。早期の活動中に気づいたことを警察に連絡してもらい、協力して犯罪の未然防止に努めたい」と期待を寄せる。
 長谷川会長は「子どもたちの安全につながるように活動の輪を広げていきたい。」と話した。
 同会副会長で隊長犬の「ファンタ」(ラブラドルレトリバー・4歳5か月)と副隊長犬「ペプシ」(ラブラドルレトリバー・5か月)を飼う中西章子さん(有限会社酒商中西屋・53歳)は「朝が苦手な子どもが犬に会いに起きられるようになったという話も聞いています。地域の防犯意識が高まることを期待しています」と話す。
 登下校時の見守りは、1997年の須磨連続児童殺傷事件や2001年の大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件を機に広がった。
 定年退職後も働き続ける人が増えたため、活動できる人は減少。以前から活動してきた高齢者はさらに高齢化し、老人クラブなどの会員数はここ20年で全国的にほぼ半減した。子どもが巻き込まれる事故や事件が起きるたび、見守りニーズは高まるが、活動の中心を担ってきた老人クラブの高齢化が進み、存続の危機に立たされている。
 会では毎月8日を「ハチの日」とし、パトロールを強化する予定。ワンワンパトロールカーや、清掃ボランティアなど活動内容を広げる方針。中西副会長は「今後、単独でウオーキングやジョギングをされている方にも広まっていくと良いなと思っていますし、他の地域でも同じような活動が広まって行けばよいなと思っています」と話している。