有害駆除=田舎の問題ではない
人と野生動物のすみ分け(ゾーニング)を早急に!!

 今年2月末までで、三重県内でのツキノワグマの出没件数は40件となり、記録が残る平成18年度以降で、平成28度の33件を超えて最も多いことが分かった。自治体別では、熊野市と大台町で各9件、尾鷲市と紀北町で各7件、松阪市で6件。今年に入ってからも1月と2月に1件ずつ熊が出没しているということで、県では“”熊が生息する地域では冬の時期であっても出没に注意してほしい”と警戒を呼び掛ける。昨年、本紙が白山町上ノ村の二人のハンターを取材したことがきっかけになり、1月21日、白山町上ノ村で「獣害子弟コンビを囲む会」が開催された。各地域で獣害駆除に取組む人たちが参加し、忌憚のない意見交換がされた。

 改正鳥獣保護法が平成26年(2014)国会で成立し、保護を前提とした個体数調整から、捕獲の強化を含めた積極的な管理へ転換した。それまでは趣味で狩猟をするハンターや地元自治体に頼っていたが、ハンターの高齢化などでシカやイノシシが爆発的に増え、農作物被害が年間200億円を超えていた。
 改正鳥獣保護法に基づき「指定管理鳥獣」に指定されると、駆除計画を立てた都道府県に国が交付金を出したり、夜間に銃で捕獲したりすることができるようになった。シカやイノシシの個体数は平成26年度をピークに減少傾向にあるが、令和3年度末でニホンジカは約222万頭、イノシシは72万頭と推定され、高止まりが続いている。
 一方、クマについては今も保護の観点が残っている。国内に何頭生息しているかなどの正確な実態は分かっていないが、紀伊半島などのツキノワグマが「絶滅のおそれのある地域個体群」とされている。
 国は相次ぐ人身被害を受け、クマを指定管理鳥獣に追加することを検討しているが、テレビニュースなどで子クマを捕獲したなどの報道が流れると、「なぜ殺すのか」「かわいそう」などと苦情の電話が相次ぐ現状。
 過疎化に伴って野生動物と人間との距離が近くなりすぎている。人と野生動物のすみ分け(ゾーニング)が早急に求められている。