例年3月に解禁となるイカナゴ魚は、津市で春の告げる風物詩となっている。そのイカナゴ仔魚(しぎょ)の伊勢湾内調査が、今月15日(火)と16日(水)に伊良湖前で行われた。仔魚(しぎょ)は採取されず、2月に三重県が実施する湾内のボンゴネット調査を待って、3月上旬にイカナゴ漁の解禁をどうするか決められる。津市の白塚漁港では1月末にバカ貝漁が始まり活況を呈しているが、イカナゴの厳しい調査結果に、漁業者の表情は暗い。
 イカナゴ漁の解禁は調査結果を踏まえ、3月上旬に三重県、愛知県の漁業者が決めることになるが、4年連続で解禁できない可能性が高い。
 イカナゴ(小女子=こうなご)は毎年12月下旬から1月下旬にかけ、伊勢湾港で産卵。産卵する低層水温は平均12・7度。産卵から孵(ふ)化日数は12日頃がピークとされる。伊勢湾の孵(ふ)化は短期集中型で、三陸沖や北米東岸は産卵場所の水温も低く、孵(ふ)化までに日数も長い。
 日没後に一斉に孵(ふ)化した仔魚(しぎょ)は、湾内に向かう水流に乗って拡散し、孵(ふ)化直後からプランクトンを食べて成長する。成魚は5月後半から湾口に南下し、水温が高くなる6月頃から海底の砂の中で夏眠する(三重県水産試験場HPから引用)。
 湾内でイカナゴが取れなくなった原因は、水温の上昇、餌であるプランクトンの変化、夏場の貧酸素域の拡大、黒潮の大蛇行などがあげられているが、判明しているわけではない。三陸沖(仙台湾)でもイカナゴ資源が減少している。
 ◇バカ貝漁は順調
  ハマグリも増加
 バカ貝漁は日・月・水・木曜日の午前6時30分~9時30分の3時間、漁場は津海岸沖。1本21キロで網に入れ、1船当たり13本。組合員が2人乗船の場合は15本が限度。午前10時には続々と漁港に帰ってくる。
 陸揚げされた貝は船ごとに分けられ、威勢の良い競り声で仲買や、加工業者に買われていく。
 7日は河芸が13隻出漁して約168体、白塚が26隻出漁して約266体、合計430体(約903キロ)。ハマグリは141キロの水揚げがあった。
 出漁が始まった1月30日はバカ貝434・3体(9120キロ)、ハマグリ34キロ。31日はバカ貝505・3体(10611・3キロ)、ハマグリ61キロ。2月3日(日)509・5体(10699・5キロ)、ハマグリ55キロ。2月4日(月)バカ貝458・6体(9630・6キロ)、ハマグリ95キロと日ごとに水揚げが増えている。
 県内出荷分は大半がゆでてパック詰めで、スーパーなどの店頭で売られる。生食用は千葉県の富津市に出荷され、ムキ貝となり「アオヤギ」と名を変えて首都圏の寿司店に並ぶ。