幹部職員、議員に土下座を強要か
弁護士、警察と連携して対処へ

 前葉泰幸津市長は11月30日(月)の第4回定例会開会あいさつで、某自治会(仮にA自治会とする)の補助金支出について異例の説明を行った。市長は複数の議員からの問い合わせがあったとし、A自治会に対する補助金、自治会交付金、業務委託等に関して調査、紹介があり、市自治会連合会からも事実関係の確認を求める要請があった。担当部局で調査を行っており、法令に反する案件については、法律相談を行っている。判明した事実は議会に報告する。警察にも相談を行っており、十分連携しているーと説明した。
 市長の異例の説明について7人の議員から緊急質問があった。当該の自治会長が市議会に来て、市議会議員や幹部職員に「土下座」を強要するなど、生々しい指摘があった。この間、岡村武議員(至誠会)から議長不信案、八太正年議員から議長信任案が出されたが、取り下げられた。
 主な発言は次の通り。
◎第3者機関で調査を 
 小野欽市議員(改津クラブ) 9月の決算委員会で発言したが、これで良いのかというA自治会の補助金の支出がある。対処をどう考えるのか。
 市長 まず職員の遵法=コンプライアンス、手続きを明快にしてつとめを果たす。特定の市民からの強い要求、要請に対してできないことはできないと言い、できることは手続きを踏んで行う。公平公正に職務が遂行できる環境がなければならない。
 小野議員 プレッシャーをかけたり、強要してみたり、色々な人がいる。法律に基づいて、はねつける、ダメなことはダメですよと申し上げていく、市長が率先垂範することで職員が見習う。法律を含めて専門的な目で判断できる第3者機関を設置することが必要ではないか。
 市長 現在の調査では弁護士と相談し、違法性については警察にも相談して、連携して取り組んでいる。10月12日(木)の幹部会で、職員につらい思いをさせたことがあるのではないか、そういう事態があったことに市長として申し訳ないと思い、お詫びしたい。市役所が変わるスタートの日にしたいと申し上げた。今後この様なことを起こさない仕組み作りをしていく。
◎途中経過でも議会に報告を
 青山昇武議員(公明党議員団) 11月9日の幹部会以降、途中経過でも議会に報告があるべきだ。
 市長 11月9日(月)の幹部会議では、警察からの要請には協力するように指示した。法律顧問の助言を受けて相談している。特定の市民からの要望は“口頭”が多く、文書では来ない。それを紙にしたいが、誰にも言えない。それにはルールを作るべき。もう一つは公務員倫理の規定があるが、ぎりぎりのケース、どんな威圧があってもやってはいけない「物差し」「よりどころ」をつくっておきたい。津市版の「職員倫理規定」の策定を総務部長に指示した。
◎すでに不当要求に対する要綱がある
 村主英明議員(市民クラブ) 調査の間口を広げたのは何故か。ほかにもあるのではないかと考えて調査を要請したのか。
 市長 10月12日に指示したのは、特定の自治会をターゲットにしなかったのは、広く職員にそのようなことはないのか尋ねた。
 村主議員 市長が前面に出て対処する局面ではないか。
 市長 市長は市の最高責任者であり、最終の結果責任を負う。
 村主議員 合併直後の平成18年に「職員に対する不当要求に対する要綱」がつくられており、令和2年に改正されている。
 総務部長 この要綱が効果的になるような仕組み作りを検討している。
◎坊主にさせられたのは「傷害」
 桂三発議員(一期一会) その調査にA自治会長から強要されて土下座をさせられたというのは入っているのか。
 市長 問題になっている様々な課題と事実と背景を調査するように指示した。
 桂議員 職員がある日突然坊主になった事実を知っているか。
 市長 突然ヘアスタイルを変更した事実は知っている。
 桂議員 威圧によって坊主にさせられるのは「傷害」にあたらないか。
 市長 威圧によって行政が歪められる事実があったのかどうかも調査をしている。
◎土下座させられたのか
 堀口順也議員(公明党議員団) 11月9日(月)の幹部会以降も特定の市民から行政職務を歪めるような行為が続いているのではないか。平成30年第4回定例会の前に公明党会派の安積議員が「フードバンク」について発言通告をだして、関係部局に聞き取りを行った。当時の浅井議会事務局長に呼び出しを受け、事務局に岡議長も、A自治会長がいて「質問通告後に聞き取りとはどういうことや」と言われた。その後荒木総務部長が土下座をされて。同席した幹部職員、加藤美江子公明党議員団代表も土下座せざるを得なかったという。その自治会長と荒木総務部長はどういう関係なのか。
 総務部長 10時に本会議開会が迫っていたので、その人の目線に合わせるためにヒザをついて本会議を開かせて下さいとお願いしたが、土下座はしていないし、土下座を強要されたのではない。
 堀口議員 他の会派でも常時行われていたと聞いている。その自治会長が関係する飲食店に行くことが、職員同士で声をかけ行われていたと聞いている。その飲食店に総務部長は行っていると聞いている。
 総務部長 職務中に、幹部が部下に対して飲食店に行くことを強要していればパワーハラスメントになる。私は個人的に行ったことはあるが、不当要求されたことはない。
◎何年も前から予算執行
 八太正年議員(自由民主党市議団) 疑義をもたれるA自治会に対する予算は何年も前から執行されている。適切に執行されているならこんな問題が起こらない。何故問題のある予算を執行したのか。
 市長 合理性を持った予算を計上しているが、手続きが不完全だったのではないかと疑義が出ている。
 八太議員 いくつものゴミ置き場の問題に合理性があったのか。
 政策財務部長 ゴミ置き場の実績とか一定のルールに基づいて予算計上している。
◎刑事告発すべきだ
 川口和雄議員(津和会) 補助金の不正支給、不正要求について、1ヵ月がかかっている。議員として私も調査し、“黒”だと思う。公務員として不正にかかる問題があれば刑事告発しなければならない。
 市長 現在、調査を継続している。結果を踏まえ適切に対処する。
 川口議員 時間がかかりすぎ。補助金は貴重な税金。ゴミ箱だけでなく、掲示板、防犯灯の地元負担金が補助金より少ない。当該自治会の決算報告書には、そのように記載されている。補助金申請の2㍍の集積庫は、集積庫ではなく10万円前後のゴミ箱。現場を見ていた市民は市職員がそのゴミ箱を組み立てて設置したという。平成25年から令和2年まで7年間、合計39個のゴミ集積庫の補助申請が出ている。現在、19個しかゴミ箱はない。職員は職務専任義務違反だ。刑事告発しなければ警察は動けない。津市役所を大掃除して下さい。
 市長 弁護士にも警察にも相談している。いつ、どうするかは未だ申し上げられない。
 川口議員 透明性が大事。1日でも早い告発が大事だ。この件で退職に追い込まれた職員もいる。平成25年から令和2年まで、監査委員は何をしていたのか!補助金を調べるのも監査委員の仕事だ。