シューベルト晩年の名作「冬の旅」
谷篤さんが声量豊かに熱演
「幻想曲」を兼重夫妻が名演奏

 声楽家・谷篤さんのリサイタル「シューベルト『冬の旅』」がが13日(土)、津リージョンプラザお城ホール(津市西丸之内)で開かれた。ホールを埋めたファンが朗読と歌に聞き惚れていた。
 前半は歌曲集「冬の旅」完成の翌年に生み出したシューベルト最後の傑作「幻想曲ヘ短調D940」。ピアノ連弾の名作で、兼重直文さんと兼重誓子さんが演奏。観客から盛大な拍手が送られた。
 「冬の旅」は1827年フランツ・シューベルトが最晩年に作曲した24曲からなる連作歌曲集。一人の若者が失恋のために、冬の夜あてのない旅にでる。社会からはじき出された者が、自分の居場所を求めてさまよう「孤独」。後半は「死」が大きな比重を占めている。
 歌う前に、谷さんは1曲づつ自身が書いた訳詩が感情を込めて朗読。歌はドイツ語で歌った。テノールのようにきれいで、しかもバスのような力強さのある豊かな歌声がホールに響いた。聴衆は魅了されたように聴き入っていた。。
 谷さんは津市出身。東京藝術大学大学院修理課程を修了し、日、仏、独、伊、露、英の古典から現代までの幅広い歌曲をレパートリーとして活動。バリトンからカウンターテナーまでの音域までを歌う表現力は高い評価を得ている。